発達障害とは、生まれつき脳の一部の機能に何らかの障がいがあり、最近の研究では、前頭前野や大脳辺縁系、大脳基底核の働きが低下していると考えられています。また小脳や神経伝達物質の異常も大きな原因の1つと考えられていますし、遺伝も関わっている と考えられます。
発達障害は見た目ではわかりにくいせいか、いろいろな面で誤解されることがあるようです。
社会生活に支障をきたす状態があっても、見た目ではその障がいが分かりづらく、困った行動ばかりが目についてしまい、周囲からの理解がないと、人と異なる行動を問題行動と誤解され、怒られてしまったりいじめられてしまったりなど、傷つけられることも多くなってしまいます。
またひとりの人がいくつかのタイプの発達障害を持っていることも珍しくはありません。
そのため個人差が非常に大きく、障がいの特性による行動であっても、周囲の人に理解されにくいという側面があります。
また 「本人の性格が悪いこと」「親の育て方が悪かったこと」が原因であるように誤解されてしまい、本人も家族も辛い思いをすることが多いのが実情です。
ただし、発達障害は「一生発達しない」のではありません。発達の仕方が通常の子どもと違っていても、家庭環境や教育環境など、周りからのサポートを通して、成長とともに改善されていく課題も多くあります。

力を発揮させてあげるために

ことばや身体機能など、発達に遅れのみられるお子さんについて、さまざまな領域すべてが遅れているわけではありません。むしろ優れている領域もたくさんあります。得意なことと不得意なことの差が大きいのです。
生活への不自由をなくすよう専門的な教育支援プログラムに則り 、トレーニングをしていこう、とするものが「療育」であり、またその目的や分野についてはさまざまな種類があります。
特に、早期発見・早期療法が望ましいとされており、それはことばや社会性など、それぞれの能力を習得する時期に近い段階で療育を開始することで、障がいによる不利益をお子さんもご家族も軽減されやすくなると考えられています。一般的に年齢が低い段階で、そのお子さんにあった療育を始めると、その後の社会適応力も高くなるといわれています。
しかしまた一方で、「いつまでに始めなければならない」「もう手遅れでは」ということはありません。
療育は「これが正しい」「この方法で治る」という趣旨のものではなく、お子さんの個性を尊重し、適性をみながら、長期的に行っていくものです。 ですから、「みんなと同じ」を求めすぎず、そのお子さんの良さを見つめて保育をしていく必要があります。
持って生まれた素質の「いいところ」を見つけ、困ったところを支援し、どんな環境を整えるかで、発達障害の子供たちの力はのびやかに発揮され、将来は変わっていきます。
成長の遅れや、少し変わった行動に気付いたけれど、このまま様子をみているだけで大丈夫?
子どもの「苦手」に早く気付いて、成長の背中を押してあげましょう。

ご家族の方とコミュニケーションを図りながら、家庭でもトレーニング内容を取り入れるなどし、お子さんの成長を一緒に手助けをしていけるといいですね。